空気を制する者は、幸せを制す

室内の空気が、家族の健康を守る。

家づくりで一番大切なことは何でしょうか。省エネ性・断熱性・デザイン性・耐震性・耐火性など、人によって、大切にしている価値観は違うと思います。そこで特に重要と考えているのが「室内の空気」です。室内の空気環境を良くすることで、日々その家で暮らす家族が健康な毎日を過ごすことができます。それこそが家族にとって、一番の価値になるのではないでしょうか。

飲食物よりも
身体に取り込む量が多い「空気」。

人が一生のうち、体内に取り込む物質で1番多いのが、実は「室内の空気」です。飲食物は人体の物質摂取量の中でわずか15%ほどです。そんな中、約60%が「室内の空気」。もっと分かりやすく言えば、人が1日に吸う空気は重さにして約21㎏、飲食物の約7倍なのです。ご家族が健康に暮らすために、飲み物や食べ物は選べますが、呼吸する「空気」は選べません。家の中に過ごす時間も長いことから、室内の空気環境が大切になってきます。

人体の物質摂取量のグラフ

人体の物質摂取量をみると、食べ物は7%、飲料は8%。
それに対しして57%は室内の空気という結果が出ています。

人体の物質摂取量の円グラフ

人体の物質摂取量

出典:
村上周三
「住まいと人体-工学的視点から-」
(臨床環境医学9:49 ~ 62,2000)

室内空気環境についての考察。

住宅に使われる建材から発生する化学物質などで室内の空気が汚れ、その化学物資を吸い続けると、場合によっては人体に健康被害を及ぼすことがあります。その症状はアレルギーや喘息、シックハウス症候群など様々。厚生労働省は2002年に13種類の化学物質について濃度指針値を定め、さらに2003年には国土交通省が建築基準法を改正し、2つの化学物質を規制しました。また、新築や増改築の住宅には24時間換気する設備の設置を義務化しました。しかし、近年では規制された化学物質の代替物質が使われ、今後も新たな物質による健康被害が繰り返されることが予想されます。

昔の家と現代の家の比較

昔の家は壁のすき間から風が通り抜けていたので、室内の空気はそれほど問題にはなりませんでしたが、最近の気密性や断熱性が高い家では空気の汚れが溜まり危険な状況です。

昔の家と現代の家の比較

建材を選ぶことは、空気を選ぶこと。

室内の空気が汚れる主な原因には、ハウスダストや建材から放散される化学物質などがあげられます。ハウスダストはこまめに換気や掃除をする事で解消できますが、後者はリフォームしない限り空気を汚染し続けます。その「空気」を作っているのが、室内に使われる建材ということです。ですので、室内の空気をきれいにするには「建材選び=空気選び」と考えるべきではないでしょうか。溶剤成分や化学接着剤が入っていない建材を選択することで、思わず深呼吸したくなる、きれいな室内空気にすることができます。

床面近くに潜む危険。

室内に発生した化学物質のうち空気より重い物質は床面近くに滞留します。床面付近で生活の大半を過ごすお子さんは、建材や接着剤などから揮発した有害な化学物質を大人より多く「空気」として吸い込んでしまっているのです。お子さんのための食事に善し悪しがあるように、室内の空気にも善し悪しがあります。建材に使われる化学物質は種類も色々、その数も毎年増え続けているのです。